堀切稔仁議員に対する問責決議

 令和6年8月23日、渋谷区長から渋谷区議会に対し、「区議会議員の不適切行為に対する要望書」と題し、渋谷区議会議員である堀切稔仁議員の言動について、厳正な対応を求める旨の書面が提出されました。この要望書は、令和2年に町田市立小学校の児童が自死した件に関し、堀切稔仁議員が、当時の校長でその後本区の教育長を務めた区職員について、Facebook や選挙公報により、いじめを隠蔽したなどと情報を広めたことを問題視したものです。
 町田市の件を巡っては、当時、様々な情報によって報道が加熱しており、令和3年10月1 日、町田市教育委員会及び町田市教育委員会いじめ問題対策委員会は、児童や関係者の人権が侵害される大変危険な状態にあるとして、緊急声明を出す事態になりました。
 こうした状況の中、堀切稔仁議員は、令和3年10月5日、Facebook において、学校のパスワードの管理が児童の自死のトリガーとなったなどと投稿しました。また、同年11月に町田市いじめ問題調査委員会が再度調査を開始し、その調査結果が明らかになっていない中、令和5年4月23日執行の渋谷区議会議員選挙の選挙公報に「いじめを黙殺した渋谷区教育長を交代させます」などと記載し、批判を繰り返していました。さらに、本年6月5日第二回定例会本会議の再質問の中で、町田市いじめ問題調査委員会の再調査報告書に記載のない、事実と異なる情報を取り上げて、再び当該職員に対する批判を展開しました。
 当時の状況について、当事者の区職員からは、守秘義務のため話ができなかったことを「隠蔽」と非難され続ける悲しさと悔しさ、身の危険を感じるほどの恐怖心、そして、それが政治家である区議会議員から発信されたことの衝撃について語られ、その心痛は計り知れないものでありました。加えて、堀切稔仁議員の一連の言動により、区民に誤った情報や認識が広まってしまった影響に鑑みると、大変深刻な結果を招いたといえます。
 我々区議会議員は、区民の負託に応えるべく、誠実に職務を全うするため、自らの言動には責任を持つ義務があることはいうまでもありません。しかし、これは自らの責任において如何なる発言も無制約に許容されることを意味するものではなく、議員が自身の見解や情報を発信する場合には、その根拠や情報の正確性はもとより、発言の影響力を勘案し、区民の信頼を得るに値する責任ある言動が求められているのであり、公益目的等を理由に、議員の言動が世間の混乱や他者の権利侵害を招くことなど決してあってはならないことです。
 堀切稔仁議員の行為は、報道の影響によって人権侵害等危険な状況にあったことを顧みることなく、また、調査委員会が再調査中であるにもかかわらず、それを承知で報道内容を基に真偽不確かな情報を広く発信し、さらには、調査結果が出された後も、事実と異なることを再調査報告書に記載があるかのように発言していたものであり、議員としての自覚と責任を欠いた不適切な行為であったといわざるを得ません。また、この件に関し、幹事長会の再三にわたる意見聴取の要請に応えることなく、説明責任を放棄したことは看過できません。
 以上のことから、渋谷区議会は、堀切稔仁議員に対し、改めて公職の役割や責任を自覚し、区議会議員として不適切な言動は厳に慎むよう猛省を促し問責いたします。
 以上、決議する。

令和6年9月19日

渋谷区議会