リチウムイオン電池の適正処理の推進についての意見書
近年、リチウムイオン電池を使用した製品が増加する中、リチウムイオン電池が不燃ごみなどに誤って混入することにより、廃棄物処理施設や収集運搬車両で火災事故を引き起こす事例が相次いで発生するなど深刻な問題となっている。本区においても、令和7年8月にハンディファンに内蔵された小型充電式電池が発火し、清掃車両で火災事故が発生した。火災事故が発生すると、廃棄物処理施設や収集運搬車両への被害により多額の修繕費用が発生するほか、現場職員の安全を脅かすとともに、廃棄物処理が滞ることで、地域住民の生活環境に重大な影響を及ぼすこととなる。
リチウムイオン電池を使用した製品は、資源の有効な利用の促進に関する法律により製造事業者や輸入販売事業者による自主回収や再資源化の取組が行われているものの、リチウムイオン電池がどのような製品に使用されているかが消費者に十分理解されていないことや、電池を容易に取り外せない製品もあることから、分別収集が徹底されず、火災事故につながっているものと考えられる。
また、自治体による分別回収の取組においては、回収方法や保管・処理委託に要する費用のほか、他の廃棄物に混ざって廃棄された場合の廃棄物処理施設での対応などに課題がある。事業者による自主回収の取組においても、メーカー不明品などについては回収されていないことや自主回収の対象外の製品もあるなど、更なる回収の徹底や再資源化に向けて制度の改善が必要である。
よって、国におかれては、リチウムイオン電池の適正処理を推進するため、下記事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
- 消費者に対し、リチウムイオン電池使用製品の排出・廃棄方法を明確に示した制度的措置を講じること
- 自治体に対し、分別収集、保管、処理委託など適正処理に向けた財政的・技術的支援をすること
- 事業者に対し、リチウムイオン電池を分別しやすい製品づくり、自主回収の対象となる製品の拡大の検討など、自主回収や再資源化を一層促進するための制度的措置を講じること
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月16日
内閣総理大臣
総務大臣
経済産業大臣
環境大臣 あて