性犯罪・性暴力の撲滅に向けた取組の強化を求める意見書
性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を深く傷つけ、心身に重大な苦痛を与える重大な人権侵害である。これらの被害は、羞恥心や自責感などから表面化しにくく、相談しても周囲の無理解や偏見によって二次的被害を受ける場合がある。また、加害者が顔見知りであることが多く、特に子どもは被害を認識できず、加害者との関係性などから被害が潜在化・深刻化しやすいと指摘されている。平成29年7月には刑法改正により、強制性交等の対象行為の見直しや法定刑の引き上げが行われた。昨年6月には刑法および刑事訴訟法の改正により、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪の成立要件の見直し、性交同意年齢の引き上げ、公訴時効の見直しが行われた。また、関係省庁では「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」に基づき、令和7年度までを集中強化期間として取り組みを進めている。しかし、性犯罪・性暴力が被害者の心身に長期間にわたり重大な苦痛を与える深刻な問題であることを踏まえると、対策のさらなる強化が急務である。
よって国において、性犯罪・性暴力の撲滅に向け、以下の措置を速やかに講じることを強く求める。
- 性被害の申告の困難さや捜査開始までに時間がかかる場合があることを踏まえ、18歳未満の性犯罪に係る公訴時効期間の更なる延長を検討するとともに、警察や児童相談所等の機関で関係書類を適切に保全する体制を確立すること
- 性犯罪の悪質性や重大性に鑑み、抑止力の強化を図るため性犯罪の更なる厳罰化を検討すること
- 子どもが性犯罪や性暴力の被害者・加害者とならないよう、包括的な教育を推進すること
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月6日
渋谷区議会議長名
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
国家公安委員会委員長
内閣府特命担当大臣(こども政策)
内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
内閣府特命担当大臣(経済財政政策) あて