再審法改正の促進を求める意見書

 罪を犯していない人が、誤った捜査・裁判によって自由を奪われる冤罪は、何の罪もない人の暮らしと人生、生命さえ奪うものであり、絶対にあってはならない。冤罪被害者は速やかに救済されなければならない。
 しかし、現状では捜査機関の手元にある証拠を開示させる仕組みについて、現行法に明文化された規定がなく、再審請求手続きにおいて証拠開示がなされる制度的保障はない。また、再審開始決定がなされても、検察官がこれに不服申立てを行い取り消される事例が相次いでおり、冤罪被害者の速やかな救済が妨げられている。袴田事件は2014年(平成26年)3月に再審開始が決定されたが、検察官が不服申立てをしたために、この決定が確定したのは2023年(令和5年)3月であり、約9年も経過した。
 法制審議会ではこれまで継続して議論がされており、刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成28年法律第54号)においては、冤罪防止につながる取り調べの可視化などが規定された。再審の規定(再審法)については、附則第9条第3項で「政府は、この法律の公布後、必要に応じ、速やかに、再審請求審における証拠の開示、起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置、証人等の刑事手続外における保護に係る措置等について検討を行うものとする。」とされている。本年3月には超党派の国会議員による「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が結成され、国において再審法改正についての議論が進められている。冤罪被害者の一刻も早い救済のためには速やかな刑事訴訟法の改正が必要である。
 よって、渋谷区議会は、国会及び政府に対して、冤罪被害者を早期に救済するために、再審法改正の促進を強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年6月17日

渋谷区議会議長名

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣 あて