適格請求書等保存方式(インボイス制度)について延期も含め慎重に検討することを求める意見書

 新型コロナウイルス感染拡大や物価高騰の影響で景気回復が見通せず、中小事業者・個人事業主の経営困難が続いている中、2023年10月1日に複数税率に対応した消費税の仕入税額控除方式として適格請求書等保存方式(インボイス制度)の実施に向け、2021年10月1日からインボイス発行事業者の登録申請が開始されている。
 インボイスを発行しない消費税免税事業者は、課税業者との取引から排除されかねない上、取引先からインボイスの発行を求められ登録事業者になれば、免税事業者の立場を失い、更に経営が困難になる。
 また、世界的にも注目が集まる日本の芸術文化・アニメ・コンテンツ産業の業界内調査によると、インボイスによって廃業を検討している事業者の多くが20代30代の下積み世代の若手であり、それは産業の未来を担う若手が育たず、業界が衰退することを意味する。
 物価高騰やコロナ禍の下でインボイス制度を実施すれば、中小事業者や個人事業主、ひいては芸術文化など多くの営みが廃れかねない。
 実際に本区にも、これまで様々な団体・個人から、インボイス制度の実施延期等を求める声が寄せられている。
 よって、渋谷区議会は、国に対し、中小企業・事業者の存続、地域経済の再生、日本を支える様々な産業、文化を守るため、インボイス制度の実施については延期を含め慎重に検討することを強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和5年6月20日

渋谷区議会議長名

内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣
財務大臣 あて