「手話言語法(仮称)」の制定を求める意見書
手話は、手や指、体などの動きや顔の表情を使う独自の語彙と文法体系をもつ言語である。ろう者にとって、手話は聞こえる人たちの音声言語と同様に、重要な情報獲得とコミュニケーションの手段として大切に守られてきた。
しかしながら、ろう学校で手話は禁止され、社会でも手話を使うことで差別されてきた長い歴史があった。現在ではろう学校でも手話が導入され、手話通訳者養成・派遣・設置事業の法制化などにより社会的に認められてきてはいるが、その活用や認識はまだまだ十分とは言えない状況にある。
このような中、平成18年12月に採択された国連の障害者権利条約には、「手話は言語」であることが明記された。
我が国では、この障害者権利条約の批准に向けて国内法の整備を進め、平成23年8月に成立した改正障害者基本法第3条では、「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」と規定し、同法第22条では、国・地方公共団体に対して意思疎通支援施策を義務付けた。
さらに、平成26年1月20日、我が国は障害者権利条約を批准し、同年2月に発効していることも踏まえると、国として、手話が音声言語と対等な言語であることを広く国民に広め、聞こえない子どもが手話を身につけ、手話で学び、さらには手話を言語として普及、研究することのできる環境整備に向けた法整備を実現することが必要である。
よって、渋谷区議会は、国会及び政府に対し、「手話言語法(仮称)」を早期に制定するよう強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成26年10月23日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣 あて