奨学金制度の充実を求める意見書

 独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度は、経済的理由により修学に困難がある大学生等を対象とした国が行う貸与型の奨学金で、無利息の第一種奨学金と年3%を上限とする利息付の第二種奨学金がある。平成24年度の貸付実績は、第一種が約40万2,000人、第二種が約91万7,000人となっている。
 しかしながら、近年、第一種、第二種とも、貸与者及び貸与金額が増加するなか、長引く不況や就職難などから、大学を卒業しても奨学金の返還ができずに生活に苦しむ若者が急増しており、平成24年度の返還滞納者数は約33万4,000人、期限を過ぎた未返還額は過去最高の約925億円となっている。
 同機構は、返還が困難な場合の救済手段として、返還期限の猶予、返還免除、減額返還などの制度を設け、平成24年度からは無利息の第一種のみ「所得連動型無利子奨学金制度」を導入している。更に、平成26年度からは延滞金の賦課率の引き下げを実施している。
 しかし、これら救済制度は要件が厳しく、通常の返還期限猶予期間の上限が10年間であるなど、様々な制限があることに対して問題点が指摘されている。
 よって、渋谷区議会は、国会及び政府に対し、意欲と能力のある若者が、家庭の経済状況にかかわらず、安心して学業に専念できる環境を作るため、次の事項について強く要望する。
 

  1. 高校生を対象とした給付型奨学金制度は拡充を行い、大学生などを対象とした給付型奨学金制度を早期に創設すること。
  2. オーストラリアで実施されているような収入が一定額を超えた場合に、所得額に応じた返還額を、課税システムを通じて返還ができる所得連動返還型の奨学金制度を創設すること。
  3. 授業料減免を充実させるとともに無利子奨学金をより一層充実させること。
  4. 海外留学を希望する若者への経済的支援を充実させるため、官民が協力した海外留学支援を着実に実施すること。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成26年12月9日

渋谷区議会議長名

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣 あて