産後ケア体制の支援強化を求める意見書

 子育て支援策で現在、大きな課題になっているのが出産前と直後の対応である。特に、妊娠中からの切れ目のない継続的な支援が必要である。
 出産により、女性の心身には大きな負担が生じる。特に出産直後から1か月間は、身体的な負荷に加えて、急激なホルモンバランスの変化で、精神的に不安定になる傾向が強く、十分な休養とサポートが必要である。
 近年、晩婚・晩産により女性の出産年齢が年々高くなってきている。出産する女性の親の年齢も高齢化しており、十分な手助けを受けられない状況がある。また、核家族化が進み、地域との交流も希薄化している中で、不安を抱えたまま母親としての育児がスタートするケースが多くなっている。
 良好な母子の愛着形成を促進するうえで、出産直後の1か月間が最も大事な時期であり、更には産後早期の親子関係が虐待や育児放棄の予防・早期発見などの役割も果たすといわれている。従って、出産直後の母親への精神的・身体的なサポートは欠かせないものとなってきている。
 国は平成26年度の予算に、これまで支援が届かなかった出産後の女性の心身をサポートする「妊娠・出産包括支援モデル事業」を計上した。少子化対策を進めるにあたって「産後ケア対策」は喫緊の課題であり、早急に確立する必要がある。
 よって、渋谷区議会は、国会及び政府に対し、次の事項の実現を強く求める。
 

  1. 「妊娠・出産包括支援モデル事業」を着実に実施すること。その上で、本事業の成果を速やかに検証し、全国の自治体で円滑に産前・産後の支援、特に産後ケアを提供できる体制を構築すること。
  2. モデル事業の展開に当たっては、経済的な理由により、産後ケアを受けられないことがないよう、利用者負担軽減策を同時に実施すること。
  3. 単なる家事支援ではなく、出産後の母子のこころとからだの適切なケアが提供できるよう、産後ケアを担う人材育成を目的とした研修を行うこと。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成26年12月9日

渋谷区議会議長名

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣 あて