アダルトビデオ出演等の強要の防止及び被害者の救済に関する法整備を求める意見書

 近年、若者が路上等で勧誘され、その意に反してアダルトビデオやアダルト動画チャット(ネットを介した性的な動画交信)に出演させられたという被害が相次いでいる。
 勧誘当初はアダルトビデオ業者である事を隠し、学生証や身分証明書をコピーする等の手段により出演を強要するなど、その手口は極めて悪質である。
 かかる行為は、個人の自由を奪い、暴力や脅しや騙しを使って個人の意に反して働かせ、その利益を搾取する犯罪行為である。
 渋谷区には40社以上のアダルトビデオ・プロダクションが存在し、過去2年間に被害者支援団体に寄せられた相談114件のうち41件は、渋谷区内で勧誘、撮影、又は制作が行われた実態があり、その被害は急増傾向にある。
 渋谷区はこれらの実情に鑑み、渋谷区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例に基づき勧誘行為を禁止し、対策の強化に取り組んでいるものの、国による抜本的な対策が急務である。
 よって渋谷区議会は、国会及び政府に対し、こうしたアダルトビデオ業者等による個人の意に反する形での勧誘、雇用、派遣、制作、販売、貸出し、配信等による性的被害を防止し、実態調査、公安委員会への届け出、立ち入り調査等による被害者の救済を行うため、罰則付きの総合的な法整備を強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成28年3月31日

渋谷区議会議長名

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
国家公安委員会委員長 あて