定期接種の機会を逃した女性に対するヒトパピローマウイルスワクチン接種機会の確保ならびにより効果の高いがん予防対策を求める意見書

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは定期接種であるにもかかわらず、2013年6月以降、積極的勧奨を差し控えたまま8年余が経過した。これに伴い、2000年4月~2005年3月生まれの女性のほとんどが、接種機会を逃した。大阪大学の研究グループの研究によれば、このまま接種がなされなければ、全国で約22,000人の女性が防げたはずの子宮頸がんに罹患し、約5,500人の女性が子宮頸がんで命を落とすと推計されている。
 定期接種を受けていない女性のうち、自ら希望し任意接種を受ける女性は、高額な費用を自己負担しなければならず、万一副反応が発生した場合の補償にも公的接種での補償との差が発生する。経済的理由により任意接種ができない場合、がん予防に経済的格差が発生し、これから妊娠・出産を考える女性の選択肢が失われることは、公衆衛生上重大な問題である。
 2021年11月26日、厚生労働省より、積極的勧奨を再開する旨が通知され、積極的勧奨差し控えの期間に定期接種の期間が重なった1997~2005年生まれの9世代を対象としたキャッチアップ接種も検討されている。9価ワクチンも承認されたことから、早急に予防接種法施行令を見直し、8年間の遅れを取り戻した上でがん予防対策をより強化する必要がある。
 よって渋谷区議会は女性の命と健康を守るため、国会及び政府に対し、HPVワクチンの任意接種を希望する女性への負担を軽減するための措置をより広く行うこと、及び早期に9価のHPVワクチンを定期接種の対象に加えることを強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和3年12月8日

渋谷区議会議長名

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣 あて